庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。

スタッフの【はやし】です。



暑くなってきて、海がきれいな季節になってきましたね。



そんなわけで、

今回は、海岸のマツについてご紹介したいと思います。


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突然ですが、上の絵に見覚えはありませんか?

そう、まさに白砂青松(はくしゃせいしょう)のお手本、天橋立の松林の様子です。



見た目にはきれいですが、どうして海岸には松なのでしょうか。

時には海岸の岩から松が生えているのを見かけ、

その生命力に驚かされることもあります。

一般に松といっても、

カラマツ、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツ、ハイマツ・・・

などなど、色々な種類があります。

中でも、アカマツクロマツは私たちに最も身近なマツですが、

海岸でよく目にするのはクロマツです。


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5回ほど外出時に使用しました。 レザーの部分や金具に線キズや押しキズ、シワ等がありますが、比較的綺麗な状態です。

クロマツに限らず、一般的にマツは

劣悪な環境でも成長できる特別な性質を持っています。

その三つの性質が、

① 砂地に成育可能

② 常緑で、冬も機能が可能

③ 塩の害に強い


ことだそうです。

こんな性質を持つマツの中でも、

クロマツは最も海岸向きだということです。

海岸では海水が風に乗り、樹木の葉につきますよね。

普通の植物ですと、塩水が葉につくと枯れてしまいます。

しかしクロマツは、他の種類のマツに比べてその葉が塩の害に強いのです。



また、葉は細いために強風に逆らわずに風力を弱め、

風に乗ってきた砂を地に落とす働きをします。



マツの中でも塩の害に強いクロマツ。

海岸にアカマツと共に植えられる際も、

必ずアカマツが内側に植えられるほどなのだそう。





アカマツとクロマツはそれぞれ葉の太さや木肌の色の違いから、雌松・雄松と呼ばれることがあります。

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クロマツ

クロマツは、上図のように葉が太い一方、


アカマツ

アカマツは上図のように葉が細いという特徴があります。

クロマツは一般的に木肌が焦げ茶なのに対して、アカマツは木肌が赤茶色という特徴があります。

二つのマツはお互い性質も異なっており、それぞれクロマツは塩に強いのに対して、アカマツは内陸部の乾燥した地に適しているという性質を持っています。




マツが劣悪な環境で成長するためのコツは、ズバリ周囲との

「協力」

です。





そんな環境の中マツが協力関係にあるのが、

菌根菌(きんこんきん)

です。

糸状の菌根菌は、菌根(きんこん)を作ります。



菌根とは、

植物の根がキノコの菌と一体になった根


のことです。

特にマツ類は菌根性樹種のなかでも、代表的な樹種であると言われています。

菌根菌の作った菌根は、主に

①水の吸収の増進(乾燥に対する耐性の上昇)
②植物養分の吸収の促進(リンや・必須ミネラル)
③病気・害虫へ耐性の増大
④土壌の構造を強く維持する



という機能があるそうです。





実際にマツとどんな協力関係にあるのか気になりますね。

さっそく実態に迫っていきましょう。


一般に菌根をもつ植物は、

菌根からのびた細く長い菌糸束により

根毛以上に広い範囲から無機養分・水分が吸収できるそうです。

つまり、植物は菌根を持っていると、

リンなどの土壌中で移動しにくい無機養分の摂取に有利になるのです。

ちなみに、マツは吸収根の大部分が菌根化しており、

土壌の養分は事実上すべて菌根菌を介して吸収しているそうです。


この関係は、上のように図解されます。

マツが栄養のない土壌で生きていくことができるのは、

この機能のおかげなのですね。



一方、菌根を形作る菌根菌は、

必要な炭水化物をほとんど生きた植物からもらっているのだそう。



もちろんマツだけでなく、

ブナ科の植物など様々な植物がこの菌根菌と共生しています。

また、菌根菌にも様々な種類があるそうです。

(今回は割愛させていただきますが・・・)



では、様々な植物が菌根菌と共生しているのに、

なぜマツはその中でも丈夫なのか。

それには、菌根の種類が関わってきます。

マツのもつ菌根は

外生菌根

と呼ばれます。

この菌根は、菌糸が根の細胞の中に侵入しないために

「外生」と言われています。



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マツタケ
「妖精の輪(フェアリーリング)」とは、このリング状に発生している松茸のことなのですね。このことからも、マツと切ってもきれない関係にあることが改めて感じられます。



マツの他に外生菌根に依存した生活をする植物には、

トウヒ属・モミ属・ブナ属
など、北半球冷温帯の主要林木の属があげられています。



この植物の種類からお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、

乾燥地や寒冷地、森林限界などに生育する樹種には

外生菌根をつくるものが多いといわれています。

つまり、外生菌根はとくに

厳しい環境に耐えることができるのです。

外生菌根を持つマツならば、劣悪な土壌の海岸に生育できるわけです。



ついでに、一部の研究者の研究によると、

クロマツにつく菌根菌は特に塩耐性が強いという結果も出ています。

ますます、マツの耐性の大きさに驚かされますね。



ここまで、

①マツのなかでも、クロマツは塩害に強い
②マツは菌根菌との協力関係により劣悪な環境で生育できる


ということが分かりましたが、

海岸にマツが植えられているのは



マツは劣悪な環境でも生きていけるということですが、

忘れてはいけないのが人間との協力関係です。



いくらクロマツなどの海岸に植わっているマツが

乾燥・塩の害に強くても、砂から水を吸うことは苗木には困難で、

風のせいで砂に埋もれてしまいます。

そんなマツのために、まわりに防風垣を作ったり、砂にわらを敷いたり、

水を運んできてやったりして育ててきたのは、私達人間です。

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天橋立

その代わりに、マツは大きくなって強い風を防ぎ、

塩によって畑が枯れることはなくなったのです。



また、菌根菌の存在しやすい土壌も、人間が作っています。

アカマツやクロマツと共生する菌根菌には

有機物の多い土壌を嫌うものが多いのだそうです。

そのため、人間が土の栄養となるマツの落ち葉をこまめに拾うことで、

土地の富栄養化を防ぎ、菌根菌の存在しやすい土壌を作っているのです。



海岸の松林は自然発生するのではありません。私達人間と、そして菌根菌と

共生しているのです。


(マツの菌根菌と塩耐性について、詳しく調べられましたら、ぜひ次回ご紹介したいと思います!)




長くなりましたが、

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!






<参考・引用>

塚田晴朗 「菌根と植物の生活」『光珠内季報』1991年 第84号 15-19ページ
中坪孝之 「岩を食べる植物共生菌-菌根菌による風化作用」『化学と生物』2001年 第39巻 第9号 602-603ページ http://cse.ffpri.affrc.go.jp/akema/public/article/GreenAge2005/GreenAge2005.html
松田陽介 「海岸林生態系を支える菌根菌」『森林技術』2008年 第798号
森林・林業学習館 「日本人に親しまれている松(マツ)」
https://www.shinrin-ringyou.com/topics/matu.php
JAXA宇宙教育センター 教材「植物に対する土壌の役割 2 (菌根菌:きんこんきん)」
https://edu.jaxa.jp/contents/other/himawari/pdf/4_role_2.pdf
一般社団法人 日本植物生理学会 みんなのひろば 「松茸について」
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1801
林業にいがた 森林研究所たより「海岸マツ林におけるきのこの発生環境改善」2007年9月号
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/shinrin/rin-nii-200709.html
森林総合研究所 四国支所 ホームページ
http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/index.html
垰田 宏・前藤薫・田瑞雅進・佐藤重穂・鳥居厚志「マツとマツ枯れに関する質問と回答」
http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/matu/index.html 
フジクリーン工業株式会社 「水の話」Fuji Clean News No.165 
https://www.fujiclean.co.jp/fujiclean/story/vol08/part201.html

奈良研究室 「外生菌根図鑑」
http://veitchii.html.xdomain.jp/emfpictures/P.parviflora.html



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